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マキタバッテリー復活方法と寿命を延ばす方法

DIYブームの到来で、工具メーカー売り場は活況を呈しています。なかでもマキタの電動工具は多くのファンを獲得する存在です。使い勝手の良さからコードレスタイプを選ぶユーザーが多く、シーンを問わない機動性の良さは言うまでもありません。そのようなコードレス電動工具を動かすためには、バッテリーが必要不可欠ですよね。

こちらの記事では、マキタバッテリーの復活方法および寿命を延ばす方法を解説します。マキタバッテリーを複数個所有しているユーザーは必見です。

 

マキタバッテリーについて

マキタのバッテリーは電圧で分けて、7.2V・10.8V・14.4V・18V・40Vのシリーズが存在します。 それぞれの電圧に専用工具が存在しており、互換性はないと考えてください。電圧が高ければそれだけハイパワーですが、バッテリー重量の重さと値段が気になります。そのため、用途に最適な工具およびバッテリーを選ぶ必要があると言えますね。

マキタのバッテリーはリチウムイオンバッテリーと呼ばれるものです。まず、リチウムイオンバッテリーの「分類と歴史」そして「構造」から「バッテリーの復活方法」および「寿命を延ばす方法」へ順を追って話を進めたいと考えます。

リチウムイオンバッテリーの分類と歴史

バッテリー(電池)は大きく分けて「一次電池」と「二次電池」と呼ばれるものになります。「一次電池」は使い切りの電池を指しており、一般的な使い捨てのアルカリ電池やマンガン電池が該当する、と考えてください。

一方「二次電池」は充電可能な電池を指しており、リチウムイオンバッテリー(リチウムイオン電池)・ニッケル水素電池・鉛蓄電池・アルカリ蓄電池などが該当します。

なかでもリチウムイオンバッテリーは優れた性能を有しており、私たちのクオリティ・オブ・ライフ(生活の質)向上のみならず、宇宙科学・工学の分野(以外にも様々な分野)を飛躍的に進歩させた、と言っても過言ではないでしょう。

リチウムイオンバッテリーは1976年にウィッティンガム(アメリカ・石油会社のエンジニア(当時))によって提案されました。このバッテリーは、+極に二硫化チタン、-極にリチウムを使用する構造だったのですが、充電池としての機能が安定せず、使い捨ての一次電池として実用化されたのです。

1980年にはグッドイナフ(アメリカ・化学者・物理学者)が+極にコバルト酸リチウム使用を提案、1981年には吉野彰(日本・エンジニア)が+極にコバルト酸リチウム、-極にカーボンのコンビネーション使用を提案しました。

1983年にグッドイナフは+極にコストの安いマンガン酸リチウムが使用できることを証明、吉野彰は+極と-極におけるイオンのやり取りの安定化技術を確立させ、ようやくリチウムイオンバッテリーの実用化にこぎつけました。

2019年にウィッティンガム、グッドイナフ、吉野彰(敬称略)の3名は、リチウムイオンバッテリー開発を通じて人類の発展に大きく寄与したとして、ノーベル化学賞を受賞したのは記憶に新しいところですね。

リチウムイオンバッテリーの構造について

リチウムイオンバッテリーは、+極にリチウムを含んだ金属化合物、-極にリチウムイオンを貯められるカーボンが使われています。充電されたバッテリーは、-極に多くのリチウムイオンが集積されており、このイオンは+電荷を持つため、-極のリチウムイオンを取り出すことで-極は-電荷を持つ、と考えてください。これを電子として取り出せば電力が生じ、いわゆる放電反応が生まれます。

一方、先ほどの化学反応を逆進させれば充電が可能となり、-電荷を持つ電子を-極に取り込ませると-極の-状態が強くなり、これに+電荷を持つリチウムイオンが-極へ引き込まれ、充電状態になるのです。

 

マキタのバッテリーを復活させる具体的な方法

リチウムイオンバッテリーの理解が進んだところで、本題のバッテリー復活方法に話を移しましょう。

バッテリーは繰り返し使用で徐々に充電能力が落ちていき、パワー自体がかなり弱まってしまいます。問題の手っ取り早い解決には、新品のマキタバッテリーを購入すれば良い、となりますが、高額なバッテリーだけに多くのユーザーが簡単には踏み切れないでしょう。

復活方法を項目ごとに解説しますので、参考にしてください。

1日中バッテリーを充電

バッテリーの残量表示がすぐ少なくなる状態なら、1日中バッテリーの充電トライが効果的です。バッテリーの残量表示機能が何らかの理由で障害を起こして、電池残量があるにもかかわらず0状態が近いと判断してしまうトラブルが報告されています。

1日中のバッテリー充電でエラー認識が解消されて、充電表示およびバッテリー機能が復活する可能性がありますから、トライする意味はあるでしょう。

リサイクルバッテリーの購入

リサイクルバッテリーとは、消耗したバッテリーパックの中身を詰め替えて新品同様の状態に戻したものです。消耗バッテリー本体を業者へ渡すのが条件なので、リサイクルバッテリー業界の仕組みは、プリンターの互換インクと似たようなシステムですね。

互換バッテリーの購入

互換バッテリーとは、純正メーカー以外が製造した互換性のあるバッテリーを指しています。リサイクルバッテリーと似ていますが筐体の回収はなく、バッテリー全体の製造に違いを見いだせるでしょう。

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マキタバッテリーの寿命を延ばす方法

ここからはバッテリーを延命させる方法を解説します。

バッテリーは充放電を繰り返しながら性能が落ちていき、最終的には充放電ができなくなり寿命を迎える、と言えるでしょう。しかし、使用環境で寿命に個体差があり、適正に使用された場合はメーカーの想定を超えて使用が可能となります。

さっそく使用方法と注意点を項目ごとに解説しましょう。

水分を避け、大切に扱うこと

バッテリーは電気すなわちエネルギーを集積した存在です。内部に水分が入り込むと、内蔵のプリント基板で水分による通電が起こり、いわゆるトラッキング現象が発生します。

トラッキング現象とは、本来絶縁をキープしなければならない箇所で通電性がアップすることを表し、バッテリーが発火する最大の原因とされるものです。

また、バッテリーに衝撃が加わる事象も避けなければなりません。これも電池構造の損傷により充放電不可となるばかりか、発火原因となるからです。

衝撃程度で発火するなんて?と思うかも知れませんが、電池構造が大幅に破壊されるケースでは、+極と-極が接触してショート(短絡状態)となるケースが報告されており、一瞬に大量の電気が動くスパーク現象(火花が散る)となって火災へとつながります。

十分に注意してください。

高温もしくは低温での使用を避けること

バッテリーは常に化学反応を起こし続けて機能を実現させています。

高温時は化学反応の高まりを見せるメリットの反面、規定値以上の高さは劣化反応も早めてしまうデメリットが存在するのです。

また規定値より低い温度もバッテリー劣化を早めてしまいます。化学反応が低くなりパフォーマンスが低下するのみならず、電池内部の電解質は低い温度で凍結しますので想定以上にセル自体の損傷劣化が進むでしょう。

リチウムイオン電池は10℃~40℃の環境が推奨されています。使用時のみならず保管時も、これらの温度から外れる場合は注意しなければなりません。

冷却ファンの停止を待つこと

マキタバッテリーの充電器には充電で熱を持つバッテリーを冷やす目的で冷却ファンが装備されています。冷却ファンが作動している間はバッテリーの温度を下げる必要性がありますから、すぐに充電器からバッテリーを外さないようにしてください。

過充電を避けること

多くの充電器が過充電を避ける仕組みが構築されており、通常の充電作業で過充電の発生は見られないでしょう。そのためバッテリーを充電器に挿したままにしても、充電満タン状態となれば自動的にストップとなります。

ただし、1回充電器から外して再度つなぐと、満タン状態でも給電されてしまい、バッテリーに負担をかけてしまうのです。充電満タンになれば、速やかに充電器から外し、再充電につながる行為は避けるようにしてください。

 

マキタのバッテリーパワーが落ちたら早めの充電を!

充電残量が0になるまで使い切る行為はバッテリーの寿命を早めます。0状態の保存による劣化を「保存劣化」と呼び、多くのリチウムイオンバッテリーで見られる現象です。

これは充電100%での長期保存も「保存劣化」の進行が見られますので注意してください。最適なバッテリー残量は20%~80%とされ、この範囲がバッテリーに劣化負担をかけないとされます。

不必要に頻繁な充電をしないこと

頻繁な充電はバッテリーの寿命を縮めます。

構造の項目で学びましたが、充電・放電は化学反応の進行で成立しますが、部材の消耗や変化も進みますので劣化を早めてしまう、と考えてください。これを「サイクル劣化」と呼び、リチウムイオンバッテリーの劣化スピードに関わる大きな事象と言えるでしょう。

一般的にリチウムイオンバッテリーの充放電回数は500回程度とされており、マキタへ質問したユーザーによれば300~800回程度との回答を得たとされます。

また、業界ではリチウムイオンバッテリーの寿命定義を製造当初容量の50%以下になった状態としており、コードレス製品が本来の性能を発揮できない容量に陥ったとする考え方です。その意味で充電性能が50%となるのは概ね500回の充電回数にあると理解してください。

 

マキタのバッテリーを長持ちさせましょう!

リチウムイオンバッテリーは、構造を理解して適性に使用すれば、平均値より長持ちさせることが可能です。一方、乱暴な扱いや水濡れは大きな事故の原因となります。平均500回充電が寿命とされるマキタバッテリーの寿命を少しでも延ばしたければ、適正使用を心がけて大切に扱いましょう。

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