パススルー(pass through)には「通り抜ける」というような意味があります。ポータブル電源のパススルー機能は、ポータブル電源本体に充電をしながら、接続したスマホなどに充電したり、電化製品を使ったりできる機能です。この記事では、ポータブル電源のパススルー機能について解説します。
また、パススルー機能を使うときと同様に、コンセントにポータブル電源を繋いだうえで、ポータブル電源に電化製品を繋いで使用するUPS機能についても解説します。
UPS機能を備えたポータブル電源は、急な停電時にも継続して電源を供給してくれます。
パススルー機能もUPSも、ポータブル電源をより便利に使える機能なので、この機会にこれらの機能について知って、製品選びをする際の参考にしてください。
パススルー機能とUPS機能の解説をした後、これらの機能を搭載したおすすめのポータブル電源を紹介します。
ポータブル電源のパススルー機能とは
冒頭にも書いたように、ポータブル電源のパススルー機能というのは、ポータブル電源に充電をするのと並行して、ポータブル電源に接続した機器を充電したり使用したりできる機能です。
充電と放電を同時に行うパススルー機能を利用することは内蔵バッテリーに負荷がかかるので、従来は避けた方が良いとされてきました。
ただ、現在では、パススルー機能を使ってもバッテリーに過剰な負荷がかからないように設計されたパススルー機能対応のポータブル電源が販売されています。
パススルー機能を使用したい場合は、購入するポータブル電源がパススルー機能に対応しているか、確認した上で購入すると良いでしょう。
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パススルー機能の便利な使い方
パススルー機能があると、どんな時に便利なのか具体的に紹介します。
充電時間が短縮できる
家のコンセントの空きが一つしかない場合、パススルー機能がなければ、ポータブル電源とスマホやノートパソコンなどを充電する際には、順番に一つずつ充電することになります。
全ての機器の充電が終わるまでには、時間がかかりますし、充電が終わった機器と次に充電したい機器を交換する手間もかかります。
ポータブル電源のパススルー機能を使えば、ポータブル電源本体の充電と同時に、その他の機器の充電も同時に進めることができて短時間で充電が終わります。
電源タップ代わりに
ポータブル電源には、複数のコンセントやUSBポートが搭載されています。定格出力の範囲内である必要はありますが、ポータブル電源のコンセントやUSBポートは基本的に複数を同時に使用することができます。
壁のコンセントを使うのは1つで、複数の電化製品を使用できるので、ポータブル電源を電源タップと同じように使えることになります。
例えば、家族の人数分のスマホを一度に充電しようとすると、部屋のコンセントがそれだけでふさがってしまうことがありますが、ポータブル電源を介して充電を行えば、コンセントを使用するのは一つで済みます。
スマホなどの充電器の代わりに
スマホをコンセントで充電する場合は、USBケーブルと充電器が必要になります。充電器にはコンセントのAC(交流)をDC(直流)に変換する機能があります。
ポータブル電源に儲けられているUSBポートから充電すれば、USBポートから出力される電流はDCなので、必要なのはケーブルだけで充電器が必要ありません。
充電器が故障してしまったときなどに役に立ちます。
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パススルー機能のデメリット
このように便利に使えるパススルー機能ですが、デメリットもないわけではありません。
デメリットの一つは、既に解説したように、バッテリーの負担が大きく、バッテリーを劣化させる危険性があることです。ただし、パススルー機能対応のポータブル電源であれば、このデメリットはなくなります。
二つ目のデメリットは、バッテリーの負担が大きくなるので、バッテリーが高温になり、冷却のためのファンの回転することです。ポータブル電源は、普通に使用している範囲ではほとんど騒音が発生しませんが、負荷が大きくなりファンが回り続ける状態になると、多少の騒音が発生します。
仮にファンが回り続けても、それほど大きな音ではないので、あまり気にならない人も多いと思いますが、寝室で使うような場合は、パススルー機能を使うと音が気になるかもしれません。
UPSとは?パススルー機能との違いは
UPSは、Uninterruptible Power Supplyの略で、日本語では無停電電源装置と呼ばれす。名前の通りUPSは、停電のときでも接続した機器に電源の供給を続ける装置で、急な停電で電気が供給されなくなることを防ぎます。
例えば、パソコンに供給している電気が急に止まると、データが破損したり、パソコン自体も故障したりする危険性があります。そのような事態を防ぐための装置がUPSです。
専用のUPSも販売されていますが、ポータブル電源にUPSの機能を持たせた製品も販売されています。
ポータブル電源のUPS機能を使うメリットとして、電気を供給できる時間が長いことがあります。
専用のUPSは、急な停電の際に一時的に電源を供給して、安全にパソコンなどをシャットダウンすることを目的としている製品が多いため、搭載しているバッテリーの容量はあまり多くない場合があります。
これに対して、製品にもよりますが、ポータブル電源はバッテリー容量が大きく、接続した機器を長時間作動させることができます。
このような特徴があるため、専用のUPSが主にパソコンなどを接続する用途に使われるのに対して、ポータブル電源のUPS機能は、冷蔵庫などに繋いで停電時に電源を供給し続けるためにも使用できます。
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ポータブル電源のUPS機能の使い方
ポータブル電源のUPS機能を使用する際には、ポータブル電源をコンセントに繋ぎ、パソコンなどをポータブル電源に繋ぎます。接続の仕方は、パススルー機能を使う際と同じです。特にポータブル電源で何らかの操作を行う必要もありません。
ただ、UPS機能を使用する際には、過負荷にならないようにパソコンなどの機器は一台だけ接続するように指示されている場合があります。詳細は各製品の取扱説明書を参照してください。
なお、UPS機能を使用している際には、余剰電力でポータブル電源への充電も行われています。つまり、UPS機能を使用しているときには、パススルー機能も使用されていることになります。
したがって、使い方の点では、パススルー機能とUPS機能には大きな違いはないことになりますが、使用される目的が異なります。また、パススルー対応のポータブル電源であっても、UPS機能は搭載されていない場合があります。
なお、ポータブル電源に搭載されているUPS機能は、停電の際にポータブル電源からの電源供給に切り替わるまで、10ミリ秒や20ミリ秒程度の時間がかかる場合が多いです。サーバーなどの0ミリ秒での切り替えが要求される機器には使用できないので、注意してください。
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パススルー機能・UPS機能を備えたおすすめのポータブル電源
ここからは、パススルー機能とUPS機能を備えたおすすめのポータブル電源をご紹介します。
Jackery ポータブル電源 2000 New
2042Whの大容量のポータブル電源で、定格出力も2200Wあります。
本製品の特徴として、ボトムケースとバッテリーセルを直接統合するCTB(セル・トゥ・ボディ)という構造が採用されています。
本体内部のスペースを有効活用しているため、大容量でありながら、コンパクトなサイズである点が特徴です。
本製品のUPS機能は、停電時に20ミリ秒未満で電源供給を切り替えるものです。大容量のポータブル電源なので、冷蔵庫などの家電に接続しておけば、停電時にも途切れることなく電源供給されます。
Jackery ポータブル電源 2000 Newの仕様
バッテリー容量 | 2042Wh |
定格出力 | 2200W |
出力ポート | AC×3、USB-A(最大18W)×1、USB-C(最大30W)×1、USB-C(最大100W)×1、シガーソケット×1 |
サイズ | 約335×264×292mm |
重さ | 約17.9kg |
Anker Solix C1000 Portable Power Station
バッテリー容量1056Wh、定格出力1500Wのポータブル電源です。定格出力は1500Wですが、最大2000Wの定格消費電力の電化製品が使えるSurgePad™という機能を備えています。
ただし、SurgePad™は、パススルー機能を使っているときには使用できませんし、精密機械や電圧保護および精密な電圧要件を持つ機器には使用できません。これらの点には注意してください。
わずか58分で満充電にできるHyperFlash™という独自の急速充電技術も搭載しています。
この記事で紹介している中では、最も軽量なので持ち運んでアウトドアで使いたい人などに向いています。
UPS機能は、20ミリ秒での切り替えです。
Anker Solix C1000 Portable Power Stationの仕様
バッテリー容量 | 1056Wh |
定格出力 | 1500W |
出力ポート | AC×6、USB-A(最大12W)×2、USB-C(最大30W)×1、USB-C(最大100W)×1、シガーソケット×1 |
サイズ | 約376×205×267mm |
重さ | 約12.9kg |
ECOFLOW DELTA Pro 3
バッテリー容量4096Wh、定格出力は3600W。この記事で紹介しているポータブル電源の中で、最も容量が大きく、出力が高い製品です。
大容量の製品のため、50kgを超える重量がありますが、大型の車輪と持ちやすいハンドルが付いているため、平坦な場所であれば移動は難しくありません。
UPS機能の性能も高く、10ミリ秒以内にバッテリーに切り替わります。
ECOFLOW DELTA Pro 3の仕様
バッテリー容量 | 4096Wh |
定格出力 | 3600W |
出力ポート | AC100V 20A×4、AC200V 30A×1、AC100V/200V 18A×1、AC200V 18A×1、USB-A(最大18W)×2、USB-C(最大100W)×2、DC5521×1、アンダーソン×1 |
サイズ | 約410.4×341×693mm |
重さ | 約51.5kg |
ポータブル電源が更に便利に使えるパススルー機能とUPS機能
ポータブル電源のパススルーとUPSの機能について解説しました。パススルーとUPSの機能があれば、ポータブル電源は更に便利に使えます。
ポータブル電源の購入を検討する際には、パススルーとUPSの機能を備えているか否かもチェックして、購入する製品を選んでください。
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